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Fintech 特許権侵害訴訟 知財高裁で逆転判決

~マネースクウェア VS 外為オンライン 事件 ~

2018.3.1 水沼 明子

金融(Finance)と、技術(Technology) とを組み合わせた、Fintech 分野の特許権侵害訴訟の知財高裁判決(平成29年(ネ)第10027号)を紹介します。

1.事件の経緯
 2015. 2.19 東京地裁に訴訟提起
原告(控訴人):株式会社マネースクウェアHD (特許権者:以下X)
被告(被控訴人):株式会社外為オンライン(以下Y)
対象特許権:特許5525082号(以下082特許)、特許5650776号(以下776特許)、
特許5826909号(以下909特許)
2017. 2.10 東京地裁で判決:X敗訴 → Xが、知財高裁に控訴
2017.12.21 知財高裁で判決:X一部勝訴

2.Xの請求と、Yのサービス

 Xは、特許権を侵害すると主張して、以下の行為の差止を請求しました。
①「サイクル注文」のサービス提供。
②「iサイクル注文」のサービス用サーバの使用。
 「サイクル注文」および「iサイクル注文」は、YがFX(Foreign Exchange)取引(外国為替証拠金取引)で顧客に提供しているサービスです。「サイクル注文」では、顧客が指定した価格変動幅の中で、外国為替相場の変動に応じて自動的に、外国為替の売買を繰り返します。「iサイクル注文」では、さらに為替レートの変動に追従して取引価格の範囲が変動します。

3.控訴審での争点

上記①および②の行為が、082特許および909特許を侵害するか否かが争われました。

4.知財高裁の判断

 第1審(東京地裁)では、上記①、②とも侵害とは認められませんでした。
 知財高裁は、上記①が082特許(金融商品取引管理システムにおける金融商品取引管理方法、プログラム)を侵害すると判断し、差止請求を認めました。

5.東京地裁(第1審)と、知財高裁(控訴審)との判断の相違点の概要

 082特許の請求項1には、「(前略)利幅を示す情報と、(中略)値幅を示す情報と、のそれぞれを、前記金融商品の売買注文を行なうための売買注文申込情報として受信して受け付ける注文入力受付手順」という構成要件が含まれています。
 東京地裁は、①のサービス画面には、値幅情報および利幅情報を入力する欄がないためこの構成要件を充足せず、非侵害であると判断しました。
 知財高裁は、①のサービスにおいて、顧客が「注文」ボタンをクリックすることは、参考情報として画面に表示された値幅および利幅に対応する注文を行なうことを顧客が決定することであると判断しました。したがって、①のサービスにおいて顧客が「注文」ボタンをクリックすることにより値幅情報および利幅情報を含む「売買注文申込情報」が送信され、この情報を受信するYの金融商品取引管理システムが行なう処理は、上記構成要件の「金融商品の売買注文を行なうための売買注文申込情報として受信して受け付ける」処理に該当するので、上記構成要件を充足すると判断しました。
 その結果、①のサービスは082特許を侵害すると判断しました。

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