ソフトウェアの特許の事なら河野特許事務所

閉じる
一覧  |   トップ  


ベンチャー向け特許早期審査の制度

~出願後2.5ヶ月で権利化が可能~

2018.12.3 八木 まゆ

 特許出願に対する早期審査の利用数が年々増えています。早期審査を活用したベンチャー企業による特許取得を推進するために新たなベンチャー企業支援策が2018年7月から開始されています。

・ベンチャー企業対応面接活用早期審査
 「面接活用早期審査」は、出願人が審査の前に審査官と面接し、発明の技術特徴、事業戦略上の発明の位置付けを審査官に直接説明することができる制度です。出願人は面接で、拒絶理由の有無、拒絶理由がある場合の補正の示唆、分割の提案等を審査官から受けることができます。したがって出願人は、事業内容に見合った適切な技術範囲の特許の取得に向けて効率的に立ち回ることが可能です。審査のスピードは通常の「早期審査」と同じです。
 「面接活用早期審査」を受けるには審査請求後、「早期審査に関する事情説明書」(以下、「事情説明書」)に、ベンチャー企業対応面接活用早期審査を希望する旨を明記し、出願がこの面接活用早期審査の適用対象であるとの説明を記載して申請する必要があります。

・ベンチャー企業対応スーパー早期審査
 「スーパー早期審査」は、「通常審査」であれば権利化するまでに平均約14.1ヶ月、「早期審査」であれば約5.3ヶ月の期間を要するのに比べ、これを約2.5ヶ月と大幅に短縮できる制度です。中小企業又は大企業の場合は、PCT出願等の外国関連出願がされていなければ「スーパー早期審査」を受けることができないのですが、ベンチャー企業であれば、外国関連出願をしていなくても「スーパー早期審査」を受けることができます。
 「スーパー早期審査」を受けるには、「事情説明書」に、ベンチャー企業対応スーパー早期審査を希望する旨を明記し、「スーパー早期審査」の適用対象であることの説明、従来技術との対比の説明を記載して申請する必要があります。対比の説明の程度として、ベンチャー企業以外には先行技術調査の実施や、調査結果に基づく充分な説明が求められるのに対し、ベンチャー企業に対しては、少なくとも出願人が知っている先行技術文献が記載されていればよい、と記載条件が緩和されています。

・適用対象

 「ベンチャー企業による出願」であって、製品を実際に製造販売しているか、「事情説明書」提出後2年以内に生産開始を予定している等の「実施関連出願」が上述の早期審査の対象です。
 「ベンチャー企業による出願」とは、出願人の全部又は一部が次の(i)から(iii)までのいずれかに該当するものです。
 (i)その事業を開始した日以後10年を経過していない個人事業主
 (ii)常時使用する従業員の数が20人(商業又はサービス業に属する事業を主たる事業として営む者にあっては5人)以下で設立後10年を経過しておらず、かつ、他の法人に支配されていない法人(※)
 (iii)資本金の額又は出資の総額が3億円以下で設立後10年を経過しておらず、かつ、他の法人に支配されていない法人
(※) (※ 他の法人に支配されていない法人とは、a)申請人以外の単独の法人が株式総数又は出資総額の1/2以上の株式又は出資金を有していないこと 且つ、b)申請人以外の複数の法人が共同で株式総数又は出資総額の2/3以上の株式又は出資金を有していないことの両方を満たす法人です。)
 なお、出願人の内の一部が「ベンチャー企業」であれば、中小企業又は大企業との共願であっても「ベンチャー企業による出願」になり、上述の早期審査の適用対象になり得ます。ただし、「事情説明書」における対比説明の記載条件が緩和されませんので、先行技術調査、先行技術との対比説明を「事情説明書」に十分に記載することが必要です。

◆ 早期審査を受けるための手続について、河野特許事務所までご相談ください。

閉じる

Copyright(c) 河野特許事務所