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2017.12.1 森田 恭允
1.生じている問題
商標登録出願制度は、同一又は類似の商標について最も先に出願した者が商標権の取得が可能となるものであり、上記の第三者は、話題となった、又はなりそうな言葉等について、創案者等が出願する前に出願して金銭的請求、交渉等することを目的としています。特許庁は、出願手数料を支払わないという手続き上の瑕疵のある商標登録出願であっても出願手数料の納付の補正命令をし、所定期間内の納付がない場合に却下します。したがって、上記の第三者は、交渉等がうまくいかない場合には、出願手数料を納付しなければ特に不利益を被らないわけです。
2.従前の特許庁の対策
瑕疵ある出願がされ、その公開を見た商標の創案者等が出願を断念するケースが生じていたため、自身の出願を断念しないよう注意喚起する通知(2016年5月17日付)がされました。しかしながら、創案者等による後願が登録されるのは、瑕疵ある出願の却下後になります。従って、後願の出願人は、その登録可能性について見通しが立たないという問題があります。
3.今回の特許庁の通知
そこで、特許庁は従来運用の明示及び変更点の通知をHPに掲載しました(2017年6月21日付)。
(1)従来の運用として、上記の後願については、手続上の瑕疵がないことが確認できれば、先願の却下を待たずに、実体審査を開始しています。また、後願の実体審査で、瑕疵ある先願が却下されるまでに拒絶理由を通知する場合がありますが、先願の却下を確認次第、他の拒絶理由等がなければ登録査定が行われます。(図は特許庁「手続き上の瑕疵のある出願の後願となる商標登録出願の審査について(お知らせ)」から引用。※FA平均・・・審査結果の最初の通知が発送されるまでの平均の期間)
(2)変更点は、今後、上記の拒絶理由を通知する場合、「拒絶理由となる先願が手続上の瑕疵のある出願に該当し、先願の却下を確認次第、登録査定を行う」旨を、拒絶理由通知に明示的に記載する運用とする点です。これにより、瑕疵ある出願を先に他者がしている場合に、自身の商標登録出願について先願が却下されるのを待たずに登録の見通しが立ちます。なお、仮に手続上の瑕疵がないことが確認された(出願手数料の支払いがあった)場合、特許庁は商標法に基づき適切に審査します。
◆商標の審査制度についてご質問がございましたら、お気軽に河野特許事務所までお問い合わせ下さい。
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